第3巻304番歌はこちらにまとめました。
第3巻 304番歌
| 巻 | 第3巻 |
| 歌番号 | 304番歌 |
| 作者 | 柿本人麻呂 |
| 題詞 | (柿本朝臣人麻呂下筑紫國時海路作歌二首) |
| 原文 | 大王之 遠乃朝庭跡 蟻通 嶋門乎見者 神代之所念 |
| 訓読 | 大君の遠の朝廷とあり通ふ島門を見れば神代し思ほゆ |
| かな | おほきみの とほのみかどと ありがよふ しまとをみれば かむよしおもほゆ |
| 英語(ローマ字) | OHOKIMINO TOHONOMIKADOTO ARIGAYOFU SHIMATOWOMIREBA KAMUYOSHIOMOHOYU |
| 訳 | 大君の遠い朝廷として往来する出入り口(明石海峡)を見ると、遠い、遠い神世のことが偲ばれる。 |
| 左注 | – |
| 校異 | – |
| 用語 | 雑歌、作者:柿本人麻呂、羈旅、兵庫、土地讃美、地名 |
解説
「おほきみ」は天皇のこと。その朝廷はむろん大和(奈良県)にあるが、その支庁ともいうべき朝廷が九州太宰府に置かれていた。それを「遠の朝廷」(とほのみかど)と呼んでいた。「あり通ふ」は「その朝廷に往来すること」をいう。太宰府と大和の間には瀬戸内海の島々があり、当時の官人たちは船で往来していた。島門(しまと)は明石海峡のことで、往来時の出入り口とみなしていた。神代(かみよ)とは『古事記』及び『日本書紀』に記されている神話の時代のこと。

